竹細工教室で教えてくれるのは、編み目の綺麗なかご、幾何学模様が映える盛り皿、
造形的カーブを描く花かごなど。
最初のレッスン「作ってみよう」でのトウフさし、へらなどの
“肥後守”で削り出して作るようなものは皆無。
周辺の生徒(みな先輩)が制作に取り組んでいるものを見ると、
いずれも見事な繊細なものばかり。
いつになったらああいう竹編みが出来るのだろうと羨ましげに眺めていたら、
お願いしてあった竹細工の道具一式(ノコギリ、ナタ、小刀、剪定鋏)と
手袋を先生よりいただく。

さあ、竹細工のスタート、ヒゴ作り!
最初に作ってみたいと選んだテーマに必要なヒゴは、幅4mm、厚さ0.5mmのもの40本ほど、長さは30cm弱。
と言っても、最初のレッスンのように、「作ってみよう」とチャレンジしてすぐに、ペラペラに薄い4mm幅のヒゴを作り出せるものではない。
レッスンの残り時間わずかななかで、ヒゴ作りの要領を学ぶ。
目の前の席に座っている、ひと月違いで入会したTさんを見ると、竹細工のスタートはヒゴ作りには非ずとばかりに、なにやら竹身を削っている。
尋ねてみたところ、竹とんぼ作りをしているとのこと。
空気力学を専門とするTさん、竹とんぼのように飛んでって、行方不明になるとのうわさがある。
本人に聞いたところ、古代史の研究を趣味にしており、時折、史的興味を引くものを見つけると、皆の行動から離れてしまうだけとのこと。
決して、痴呆性徘徊ではないことを、本人に代わって伝えておきたい。
竹細工教室で空気力学の実践的工作を目指すTさんやそれぞれが制作期限なしの自由テーマで竹細工する生徒とそれを見守る先生。
心豊かな竹細工教室だと思う。

通常、所要の長さに竹を輪切りすることからヒゴ作りが始まる。
次に、けがきコンパス(あるいは鉛筆)で、割り幅(4mm幅のヒゴが欲しい場合は5mmほどの刻み)の目印を、輪切りの丸い切り口部分に記しておく。
目印にナタの刃をあて、半分に、半分にしたものをまた半分に、繰り返し割っていく。
一本の竹が、2,4,8,16,32,・・・ 麻雀の数えのようだが、声を出す必要はない。
幅2~3cmほどになったら、割り幅が均一になるように、より慎重に裂いていかなけばならない。
その際、「ナタを押しつけると幅が狭くなる」と教わったが、よくわからない。
しかし、実際にやってみると理解できる。
自分では、初めに刃物で割れ目を入れたあと、ナタを使わないで、竹の両側を左右の手で引き裂いでいった方が、均一な幅に調整しやすい。
竹の繊維は非常に細く、丈夫だ。
おまけに晒した竹の色は薄茶色。
一度、指に刺したことがある。
なにかのはずみで刺さったところに触れるとチクリと痛みが走る。
細かく丈夫で肌色のため、どこに竹の繊維が刺さっているのか、分からない。
皮膚の新陳代謝とともに抜け落ちるのを、我慢して、待つことにした。
痛い目に遭うと、しっかりそのことを記憶する。その点は、ワンコもヒトもまったく同じだ。
ん十年の人生のなかで、何度も、何度も痛い目に遭ってきた。
従って、痛い目の数だけ学習をし、沢山の知識がついたはずだが、懲りずに、また同じ痛い思いを繰り返しているのだ。
そこが、うちのワンコと飼い主との違いだ。
しかし、ヒゴ作りの際は、必ず手袋を着用することにしている。
