作ってみましたⅢ(道具作り)


竹割りをすると、気持ちよくパリッパリッと竹の裂ける音が耳に入る。
無心に手を動かすだけの時間が心地良い。
ヒゴを明るい光にかざすと、濃い色合いの影ができるので、その部分が厚いと判る。
均一な厚さのヒゴは、両端を持って丸めると、真円に近い弧を描く。
これが、なかなかできない。
ヒゴの出来、不出来は分かるが、肝心のヒゴ作りは難しい。
一流プロ職人の先生は、ナタ一本でヒゴを作りあげる。
目の前で、厚さ0.3mmのヒゴを、難なく作ってみせてくれた。
ヒゴ作りの道具がないものかと調べてみた。
あった。が、とても高価だ。
調べてみたら、ネット上に、自作風のものがあるわ、あるわ。
小・中学校を通して、図画工作、職業家庭だけは、つねに5だった。
が、他の教科は、悲惨というか無関心。
足し算、引き算ができなくとも、現金を手にすれば、買い物の勘定を間違えることはなかったし、掛け算ができなくとも、答案用紙の裏にささっと絵を書けば、鶴亀算は正解(式を書いていないから減点!だって?)。
算数は、よく宿題が出た。
学校が終わるや、すぐ遊びに出掛けるので、宿題などするはずがない。
当然のごとく、いつも放課後の居残り組。
いっしょに残された仲間と遊ぶ時間惜しさで、必死になって、前日の宿題をこなす。
で、その日の宿題は、また翌日の放課後。
そのうち、先生が、今で言うサービス残業にあたる時間のムダと気づいたのか、宿題を出すのを止めてくれた。
昔話はさて置いて、自分でヒゴ作りの道具「幅きめ」と「うらすき銑」を作ることにした。
なにしろ、図工(図画工作)だけは常に“5”だったのだ。

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竹編みのために竹ヒゴを作ることがあっても、竹ヒゴを作るための道具作りの方に夢中なるヒトはあまりいないと思う。
何度も作り直した結果わかった銑と幅きめの調整ポイントを書きとめた。

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(「作ってみましたⅢ」のこの先は、マジメでギジュツ的な記述なので、読み飛ばした方がよいかもしれない。)

しばらくの間、竹編みを忘れて、銑と幅きめ作りに夢中になった。
ヒゴ作りは、試作した道具の出来を試すだけ。これすなわち本末転倒、主客転倒、冠履倒易(カンリトウエキ)。
そんな訳で、材料であるヒゴを持参しないで竹細工教室に出席しても手持ちぶさたですることがない。 仕方がないので、お隣に座っているTさん(日立製作所卒業)専門の“空気力学”竹トンボの話を拝聴しながら周りを観察すると、 オカモト先生の面白い話を聞いたり、“この指とまれ”の課外学習(遊び)の話をしたり、楽しくレッスン時間を過ごして、 ちっとも竹に触れることもなく帰るおばさんがいることが分かり、何となく安心した。

道具が出来上がったので、マジメにヒゴ作りに取り組むことにした。

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ヒゴ作りの手順は、竹割り、剥ぎ、幅とり、面とり、うらすき。
竹細工では、通常、竹皮の約0.4mm厚部分だけを使う。
竹割りから順に丁寧に作業しないと、貴重な竹がムダになってしまう。
竹割り、剥ぎ、幅とりをナタでしっかりやれば、後の処理が楽になり、結果として少ない時間でヒゴを作ることができる。
ヒゴ作りの道具、銑、幅きめは最終仕上げの補助、「基本はナタ」と先生が教えてくれました。