竹の家族


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毎年、春になると竹細工教室の楽しいイベントのひとつ、花見が3サークル合同で催される。
主役は桜だが、竹が助演する。
当日の朝切り出した竹で、料理を盛り付ける皿、箸、ぐい飲み、カッポ酒の筒などを即製する。
竹の切端はそのまま料理やお酒を温める燃料になる。

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竹の教室だけあって、圧巻は採ったばかりのタケノコ料理。
なにせ花見の会場は竹林のすぐそば、竹林のオーナーKさんの庭。
蒸し、煮、ホイル焼き、混ぜご飯などどんなレシピであろうと、掘り出し直後のタケノコ料理に優るものはないと思う。
ずっと以前、丸かじりシリーズ(東海林さだお)かパイプのけむりシリーズ(團伊玖磨)で、究極のタケノコの食べ方を読んだことがある。
地中にあるタケノコの周りの土を掘り出し、出来たくぼみの底で焚き火をしてじっくり生えたまま焼き上げる大地焼き(別名地獄焼き)。
日光見ずして結構と言うなかれ、ナポリを見ずして死ぬことなかれ、大地焼き喰わずして・・・ とまで言われてるらしい。

竹細工教室入会初年度の生徒は、実技だけでなく座学(講義)を受ける。
竹の種類、生育分布、年齢の見分け方等々、なかでも、タケノコは1日に1メートルも伸び、わずか数ヶ月で立派な竹に成長する珍奇な植物。
成長の要因は数的増大と量的増大の・・・と言う植物学教科書の話ではなく、竹は地下茎(根)で互いにつながりあってひとつの竹林を作っていて、竹の赤ちゃん(タケノコ)が生えると、竹林(家族)の一本いっぽんのお父さん、お母さん、おじさん、おばさん、おじいさん、おばあさんなど家族全員がいっせいに赤ちゃんへ栄養を送り支え続けるので、他の植物に例のない驚異的成長ができる。
というオカモト先生らしい教えでした。
そうした講義が頭に残り、お母さんやおじさんたちが見守る下で地獄焼きをしてタケノコを食べてみたいという気持ちは雲散霧消してしまった。
料理上手のお嬢さん(?昔)たちが採りたてのタケノコ、山菜、搗きたての餅などを調理してくれ、カッポ酒とともに胃袋を満たしてくれる。
地獄焼きがなくとも、充分幸せな花より団子の至福の時がまもなくやってくる。

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