雪国の桜

2019.04.23


気の向くまま遠出できることが、無職の身の最大の特権。
宮仕えの現役時代は、近場の桜を愛でるのが精いっぱい。
そこで、現役引退後しばらくして、桜の追っかけ旅に出た。
開通間もない新東名を下り、高遠城址公園を皮切りに、小諸城址懐古園、高田公園、新発田城址公園、加治川堤、鶴岡公園、・・・。
さらに角館へむかう山形・秋田の県境あたりで、クルマでの移動が桜の開花前線を追い越してしまった。
が、毎日が休日なので、北へむかう勢いのまま走り続け、北海道へ渡った。
寒い北海道で数日過ごした後、再びフェリーで青森港に入り、満開の弘前城址の桜を堪能した。

それから数年経った今回、満開情報ぴったりの福島の桜に照準を合わせて出発。
なかでも、日本三大桜のひとつ、三春町の滝桜は圧巻。

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鶴岡公園の桜は「さくら名所100選」のひとつ。
庄内藩(海坂藩)の城址いっぱいにソメイヨシノが咲き乱れる。
しかし、私的には、黒川能で有名な黒川橋下流の赤川堤の桜並木がお気に入りだ。

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ここの桜並木はあまり知られておらず、花見に訪れる人も少なく、ゆったりと散策しながら周囲の景色とともに観賞できるのが良い。
この場に立ち止まり、昔ながらの景観を見渡すと海坂藩を舞台にした藤沢周平の小説に取り上げられた場面が自然と脳裏に浮かんでくる。
藤沢周平の生まれ育った高坂の郷は、この地から西に1里ほどのところにある。
海坂藩のなかで描かれる大きな川は赤川にあたり、映画化された映像で、月山や鳥海山とともに映し出されるのを見るのが懐かしくうれしい。

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鎌倉への帰りは、山あいを抜けて鼠ヶ関に出る国道345号を通った。
鬼坂峠を越えると、周囲の山は白い雪と春を待つ木々のまだら模様。
かろうじて舗装はされているものの、狭縊な幅員のため大型・中型車は通行不能であり、冬期間は雪のため閉鎖されてしまう国道なのだ。

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ずっと以前、愛媛の八幡浜から瀬戸内海へ抜ける国道378号の狭縊さに驚いたが、それに次ぐ経験。
雪の融けたところからフキノトウが顔を出し、日の当たる路肩の斜面にカタクリの花が延々と続く道筋をゆったりと通り抜けるのは実に気持ち良い。
桜の季節でなくとも、機会をとらえて、またこの地を訪れたい。

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